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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、新型コロナの第2波警戒

連載 2020-06-22

(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円台後半まで小幅下落する展開になった。新型コロナウイルスの感染被害「第2波」に対する警戒感が浮上する中、調整売り優勢の展開になった。ただ、本格的なリスクオフ化は回避されており、大きな値崩れには至っていない。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万元台前半でやや調整売り優勢の展開になっている。

 4月以降のゴム相場は、新型コロナウイルスの感染被害が収束に向かい、経済活動が正常化に向けて再開する流れを好感して、地合を引き締めていた。各国で新型コロナウイルス対策の行動規制が段階的に解除されており、タイヤ販売環境も新車用・買い替え用ともに改善傾向にあると評価されている。

 中国では、4月に続いて5月も新車販売台数が前年同月比でプラスになっている。政府によるインフラ投資で、トラックなど商用車需要が高まっている影響もあるが、ここ数カ月の改善傾向は多くの市場関係者の想定を上回るペースになっている。

 米国でも5月の小売売上高が前月比17.7%増となったが、自動車・同部品は同44.1%増と驚異的な伸び率を記録している。これまでの外出抑制の反動に加えて、現金給付が家計部門にも行きわたる中、タイヤ需要環境が4月にかけての急激な落ち込みから、5月以降に急回復していることが明確に確認できる。

 このため、経済正常化の動きと連動したゴム相場高の限界がどこにあるのかが4月以降の焦点になっていたが、突然に新型コロナウイルスの「第2波」のリスク評価を問われる地合に転換している。

 米国や中国も全体としては、感染被害が収束方向にある。しかし、米国では南部や西部の一部州、中国では北京市などで新規感染者数の増加が報告されている。こうした「第2波」のリスクをどのように評価すればよいのか、マーケット全体が気迷いムードに包まれている。株式や非鉄金属、原油相場なども上げ一服ながら大きな値崩れは回避されているが、月末に向けて「第2波」のリスクをどのように消化するのかが、ゴム市場における最大の焦点になっている。

 一方、産地の集荷量は依然として抑制されている。乾燥気味の天候、新型コロナウイルスによる生産環境混乱の影響などが指摘されているが、減産期から生産期への移行を確認することはできない。タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月18日時点でUSSが前週比1.0%安の1キロ=38.88バーツ、RSSが同0.2%安の43.15バーツとなっている。消費地相場と連動して上げ一服となっており、産地主導の値動きは確認できない。

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