【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、米中協議への期待で反発
連載 2019-04-08
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=180円台中盤、TSRが160円台後半まで、それぞれ小反発した。
2月下旬から3月初めにかけての急騰相場は、国内在庫の急増を促し、3月下旬には高値修正圧力が強くなっていた。しかし、4月入りしてからは米中通商協議に関してポジティブな報告が目立つことで投資家のリスク選好性が高まり、株価や他資源価格と連動してゴム相場も改めて地合を引き締めている。
上海ゴム先物相場は、3月初めに1トン=1万3,000元台乗せを打診したのに対して、3月末に向けては1万1,000元割れを打診する展開になっていた。しかし、その後は米中通商協議の進展期待を背景に1万1,000元台後半まで切り返す展開になっている。年初来高値を更新している上海株価との比較では反発力が限定されているが、値下がり局面にはブレーキが掛かっている。
2月下旬のゴム相場急伸を受けて、海外から国内への入庫が急増し、在庫水準が一気に切り上がっている。TOCOM指定倉庫在庫は、1月末の7,890トンが2月末には9,477トン、直近の3月20日には1万2,095トンまで急増している。3旬連続で入庫量が1,000トンを超えており、必要以上の値上がりが国内に荷を呼び込んだことは明らかである。
この過剰在庫の解消を促すために3月は値下がり対応を迫られていたが、米中通商協議の結果次第では4月中にも最終合意が実現するとの観測が浮上する中、ゴム相場は改めて上向きの刺激を受けている。2月下旬のゴム相場急騰、それに伴う在庫急増を繰り返すのか否かが焦点になる。
タイでは乾季型の天候が続いており、中央ゴム市場の入庫量は抑制されている。ただ4月4日時点の現物相場は、USSが前週比2.6%高の1キロ=50.78バーツ、RSSが同0.4%高の54.35バーツとなっており、やや強含みで推移している。インドネシアやマレーシアでも徐々に降水量が落ち込んでいるが、産地主導の値動きは見送られている。
4月1日からタイ、インドネシア、マレーシアの3カ国による輸出規制が開始されている。4カ月で24万トンの輸出削減が行われるが、最大の輸出削減割り当てを受けているタイは、5月20日からの途中参加であることが明らかにされている。総選挙後の政局が不安定化する中、輸出削減策の承認手続きが進まず、当面の輸出規制の規模は限定的にならざるを得ない。
このまま米中通商環境の改善期待で一段高を打診するのか、それとも過剰在庫の上値圧迫から戻り売り優勢の地合に回帰するのかが問われている。
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