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連載「つたえること・つたわるもの」(56)

おせち料理は〈神人共食〉、お年玉の由来は〈年魂〉。

連載 2019-01-08

 正月といえば、ことしも孫たちに配った「お年玉」、これはかつて「年魂」と呼ばれたものである。

 現代の「お年玉」はポチ袋(点袋)に入ったお金だが、本来の「年魂」は正月の神前に供えた「餅(餅玉)」を「松の内(関東では歳神さまがお帰りになる1月7日まで、関西では1月15日までが一般的)」が明けてから、神前から下げていただくことであった。

 その昔、上古代の日本人は、からだの中には丸い形をした「魂」が宿っていると考えていた。この魂を餅玉(丸餅)でイメージすれば、魂の餅玉は春から夏にかけてどんどん大きくなるが、秋になると少しずつ小さくなって、冬(年末)にはちっぽけな餅玉(丸餅)となり、体力も気力も限界まで落ち込む。

 そこで、正月の神前にお供えして歳神さまの御魂(みたま)が宿った餅玉を、一家の主人が家族全員に分け与えた「御魂分け」が始まりだという。つまり、ガス欠ならぬ電欠を起こしそうなEV(電気自動車)に、電気(魂)をチャージ(充電)するのが餅玉の役割である。この餅玉である丸餅を食べるための料理が「雑煮」で、雑煮の主役はもちろん、丸餅ということになる。

 戦前は、12月に渡される少額の臨時支給金を「餅代」と呼んでいた。これは、正月の餅を用意するための足しにしてほしいという趣旨の、当時の企業主から従業員とその家族への「年玉」であったようだ。

 毎年、正月に歳神さまの「年魂」をいただく、これが本当の「年玉」である。また、正月に歳神さまの年魂(年玉)を食べた母親の胎内で正月を迎えた胎児もまた、へその緒を通じて「年玉」をいただいたので、生まれたときには1歳とする「数え年」は、正月に「年玉」をいただくという考え方からきている。

 この1月4日、満73歳を迎えた私は、数えで74歳。今週の金曜日、1月11日は「鏡開き」だ。神棚に供えた鏡餅は汁粉に入れて、平成31年の「魂」をチャージすべく、歳神さまの「年魂」をいただこう。

【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう) 
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。

 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。

 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。

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