【特集】農業に貢献するゴム企業
ミトヨ、労働環境の快適性向上に貢献する製品を農業分野へ展開―「冷えルーフ」、「クールミストLine」、「Cross-fan EX」
ラバーインダストリー 2025-04-14
(2週間限定公開無料公開)
ミトヨは自動車関連のゴム製品から物流,土木・建設分野,自動化・省力化製品まで多岐にわたる商材を取り扱う。その中でも,労働環境の快適性向上に貢献する製品を環境事業として取り扱っており,これまでも自動車工場をはじめ,導入実績をもつ。そんな同社の環境事業は,2024年10月9~11日に幕張メッセにて開催された農業WEEKへの出展を皮切りに,農業分野への拡販を試みる。
労働環境の快適性向上に貢献する環境事業ー農業分野への展開を視野に活動
地球温暖化により平均気温が上昇し続けている。気温の上昇は労働者の生産性を低下させるほか,農業においても作物の生育状況の悪化,飼養成績の低下など,マイナス影響を及ぼす。ミトヨの環境事業では,これらの課題解決に貢献する製品を取り扱う。これまでは工場を持つ企業を中心に営業活動を行ってきたが,「今後は新たな分野にも展開していきたい。そのうちの1つが,農業分野だ」(ミトヨ産業資材事業部 営業第一グループ 佐藤紀菜氏)としている。農業WEEK出展製品をはじめ,農業分野で活用見込みのある製品を紹介する。
農業WEEKに出展,「冷えルーフ」と「クールミストLine」に注目が集まる
同社の環境事業は,2024年10月9~11日に幕張メッセで開催された農業WEEKに出展した。同社の展示ブースでは,労働環境の快適性向上に貢献する製品を取り扱う環境事業から「冷えルーフ」と「クールミストLine」が出品された。
冷えルーフは夏場の温度上昇対策として屋根の上に張るシート状の製品。同製品を施工していない屋根は表面温度が約60度まで上昇するのに対し,同製品を施工した屋根は約40度に留まるなど,約20度もの差が生まれた。室温については約3~5度の低減効果が確認されているという。

実際に冷えルーフを施工した屋根のようす
クールミストLineは,超微粒の粒子ミストを噴霧することで,濡れずに夏場の冷却および冬場の加湿を行う装置だ。コンプレッサーのエアーと少量の水をミキシングすることでできた“超微粒子ミスト”による気化熱で,平均8度の冷却効果をもたらす。導入事例の中には,40度の作業場が27度になったケースも存在する。取り付け方法は,製品に付属の大型クリップで挟むのみ,工事が不要なため,導入コストが低い点も魅力だ。

クールミストLineの構造
展示会を通して見えてきた農業分野での可能性
今回の展示会を通して,「農畜産業ではまだまだ暑さ対策が進んでいないのが現状だと感じた。従事者はもちろん,農作物,動物に対する対策も含めてだ。当社のブース訪問者からは,暑さが原因で作物の育ちが悪くなる,保管倉庫でも暑さで作物の状態が保てない,動物が体調不良を起こしてしまうといった悩みが多く寄せられた。また,フィリピンやタイなど海外からの需要も確認できた。バナナやマンゴーを保管している倉庫の遮熱対策として冷えルーフを検討しているという声をもらった。工場を中心に展開していた製品だが,新たな分野での用途拡大の可能性を見出すことができた」(同)。

農業WEEK展示ブースでの「冷えルーフ」簡易比較実証のようす。冷えルーフを取り付けた左側と、なにも取り付けていない右側とでは、10度以上の温度差が。実際に屋根に取り付けた場合には、より温度差が顕著になるという

クールミストLine 画像のようにクリップで取り付けが可能。取り付け部分はクリップのほか,オプション品としてS字フック,マグネットクリップを選択できる。牛舎やビニールハウスの暑熱対策,観光農園のミストカーテンとしての引き合いも
81通りの冷却機能で労働者一人ひとりに寄り添う冷却プレート付き空調ファン
これら2製品以外に,同社は農業従事者の熱中症対策に貢献するCross-fan EX(クロスファンイーエックス)も取り扱う。同製品はファン内部に冷却プレート(ペルチェ素子 ※)が内蔵されていることが特徴。冷却プレートの機能をONにすることでプレート表面が急速に冷え,身体を心地よく冷やす。「従来の空調服では,外気温の熱い空気が取り込まれ,それがファンの送風によって顔周りに充満してしまうといったケースが多発していた。一方,クロスファンでは冷却プレートにより冷やされた空気を送風するため,確かな冷却効果が得られる。メーカー評価試験では,環境温度40度の場合,約5分でペルチェ素子表面温度が,環境温度対比マイナス30度(ペルチェ素子表面温度約10度)になる事が確認されている」(同)。
同製品は,労働者の年齢,性別,国籍の多様化にも対応する。サイズについてはS~5Lの7サイズ展開。空調機能については,冷却プレートの冷却機能およびファンの風量についてそれぞれ9段階から設定可能。全81通りの冷却パターンから,個人の感覚に合わせた機能の設定が可能となっている。「屋外での農作業はもちろん,ビニールハウスなど,遮光による遮熱が難しい環境においても熱中症対策効果を発揮できる製品だ」(同)。
新たな柱として環境事業が今後目指していくもの
環境事業が立ち上がったのは2022年。これまで自動車産業向けの製品を多く取り扱っていた同社で,新たな柱となるべく事業を目指しスタートした。
現在,同事業の2024年度売上高は1億5,000万円を見込み,設立から2年ほどで大きく成長を遂げている。同事業は今後の目標として,売上高4億円突破を掲げる。「現在,環境事業は東京の営業グループ中の1チームという括りになっている。しかし,拡販のためには東京に限らず地域を広げ,人数を増やしていく必要がある。実際に,北海道や九州など関東圏以外のユーザーから要望をもらうこともある。こうした要望に対応するためにも,活動エリアを増やしていくなど更なる展開が考えられる」(ミトヨ産業資材事業部 部長 松本敏之氏)。
働く人に快適な作業環境を提供する製品を取り扱う環境事業。創業76年を迎える同社を支えていく新たな柱として,従来の工場だけでなく,農業分野を含めた今後の更なる展開に注目したい。
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