【特集】ゴム企業の環境活動・環境対応製品
日本ゼオン、シート系熱界面材料 半導体等の熱対策で期待される
原材料 2017-07-27

SGCNT含有のシート系TIM
日本ゼオンが開発に成功した高性能なシート系熱界面材料(TIM)は、それ自体が環境製品というわけではない。ただ、開発したシート系TIMを使用すると、発熱問題が顕著化しているサーバーやパワーデバイス中の半導体温度を大きく低下させることが可能で、その結果として省エネ、スマート社会、低炭素化社会に貢献すると期待されている。
近年、サーバーやパワーデバイス中の半導体チップの情報処理能力が大きくなっていく中で、熱対策の重要性が急速にクローズアップされている。「熱問題のため、半導体はフルスペックの性能を発揮できていないとも言われている。半導体に関連する企業には、熱対策のチームや部署が必ず存在する。それほど、半導体における熱対策は喫緊かつ重要なものになっている」(日本ゼオン)という。
TIMは、半導体の熱源となるチップとそこで発生する熱の冷却を目的とした、ヒートシンクなど放熱部材との間にできる微小な空隙を埋めるために用いられるもの。空気層は断熱効果があるため、チップと放熱部材との間にTIMを挟み込むことで、界面の熱抵抗を下げる必要がある。TIMは、CPUやIGBTなどの熱源から発生する熱をヒートシンク側へ放出することを目的とした部材。TIMには、厚み方向の高い熱伝導率に加え、微小な空隙を埋めるためにチップや放熱材料の形態に合わせて変形できる柔軟性が求められる。
同社が開発したシート系TIMは、スーパーグロース法を用いたカーボンナノチューブ(SGCNT)と黒鉛、ゴムを複合したもの。高い熱伝導率を示しながら柔軟性に優れた材料の製法と、日本ゼオンが有していたゴム分散技術、配合技術、加工技術を融合することで、厚み方向に高い熱伝導率をもつシート系TIMの実現に成功した。シート系でありながら、従来使用されているグリース系TIMに比べ、優れた熱特性、高い作業性、信頼性を実現している。
開発したシート系TIMをグリース系TIM代替として使用することで、半導体の組立工程の簡易化、生産性向上などの効果が期待される。
量産に向け、すでに2016年12月からパイロットプラントが稼働。無償サンプルによる評価、用途開発を行っている。「当社の開発したシート系TIMは、これまで使用されていたシート系、グリース系TIMとは違う、新しい性能を有したもの。新しいものなので、顧客と手を組み進めていく。今ある性能プラスアルファのニーズも出てくると思う。そうした面にも取り組んでいく」(同)。
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