【特集】合成ゴム
日本ゼオン、特殊合成ゴム 販売の軸足はアジア
原材料 2016-12-20
ACM/AEM(アクリルゴム)も、堅調に推移している。同社では、内燃機関を備えた自動車がある限りACM/AEMの需要は伸びていくと予想。新グレード開発にも注力しており、劣化油対策の新グレードは現在ユーザー評価の段階。また、押出し性を改良した新グレードも開発中で、「来年には看板になるようなグレードを出したい」(同)としている。
ECO(エピクロルヒドリンゴム)は、黒字を確保しているものの、従来用途における需要の伸びは期待できないという。「ECOは大きく分けて自動車用途とロール用途があるが、自動車用途は他素材への代替が進み、ロール用途はペーパーレス化によるプリンタの不調で需要を後押しするような状況ではない。将来を考え、自動車用途でもロール用途でもないその他の用途開発を進めていく」(同)としている。
特殊合成ゴムの今後の戦略としては、販売の軸足をアジア、インド、中国に置く。「自動車の電動化が遅れている地域に特殊合成ゴムの商機があると考えている。自動車部品のスペックについては、日米欧で決定されるため、自動車メーカーやティア1はしっかりフォローしていくが、販売はまだ未成熟なアジア、インド、中国が軸足」(同)という。
同社では、こうした地域を技術的にサポートする拠点をシンガポールに建設する予定。アジア・インド・中国のユーザーが現地の材料・設備でしっかりと成形できるようにバックアップし、市場における『ゼオン』のプレゼンスを向上させたいとしている。サポート拠点は試験設備などを完備しており、日本からのスタッフの派遣および現地でのスタッフ登用を予定。来年中には完成・稼働させる。「将来的には研究所としての役割も果たしていければと考えている」(同)という。
汎用合成ゴムのうち、SSBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)は、ゴム全体の販売数量が減少した中、世界的な低燃費タイヤの需要拡大およびシンガポールの第2プラント(生産能力を年産3.5万トンから7万トンに増強)が4月から稼働を開始したのを背景に、国内が前年同期比6.1%、海外が同19.6%とそれぞれ増加した。同社では14年度実績を100とした場合、16年度は1.4倍以上の販売数量になると予測している。
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