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18年3月期業績

JSR、売上高が過去最高、エラストマー大幅増益

原材料 2018-04-26

説明する清水取締役


 JSRが4月25日に発表した18年3月期業績(IFRS)は、売上高が4,219億3,000万円で前期比8.6%増、営業利益が435億6,900万円で同21.2%増、当期純利益が332億3,000万円で同9.9%増となった。売上高は過去最高。

 エラストマー事業部門は、売上高が1,973億7,300万円で同6.5%増、営業利益が148億7,000万円で同69.0%増、販売数量が67万7,731トンで同3%減。前期第4四半期に上昇したブタジエン価格を反映した販売価格改定により増収。それに加え、タイの合弁会社で生産するSSBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)の販売数量が増加したことにより営業利益は、前期を大幅に上回った。「年間でみるとスプレッドは前期比で縮小し、事業環境として良くはなかったが、開きが大きかった前期第4四半期のスプレッドを反映した今第1四半期の利益が大きく寄与した」(清水喬雄取締役上席執行役員)。販売数量では、SSBRは同6%増と市場の伸びと同等の伸びを示したものの、BR(ブタジエンゴム)など国内向けの汎用ゴムが前期を下回った。

 合成樹脂事業部門は売上高が521億6,100万円で同13.3%増、営業利益が55億7,500万円で同44.8%増。拡販により増収増益で、営業利益は過去最高だった。

 多角化事業部門は売上高が1,723億9,500万円で同9.8%増、営業利益が231億2,400万円で同0.7%減。

 19年3月期業績は売上高4,900億円で前期比16.1%増、営業利益480億円で同10.2%増、当期純利益360億円で同2.9%増を見込む。

 そのうちエラストマー事業部門は売上高1,950億円で同1.2%減、営業利益100億円で同32.8%減。17年度の売上高、営業利益を押し上げたスプレッドの要因がなくなることに加え、下期に立ち上がるハンガリーのSSBRプラントの立ち上げ費用などで、営業利益は大幅に減少すると見込んだ。

 販売数量ではSSBRは前期比10%増と引き続き好調に推移する見通し。ハンガリーの新規プラント分については「18年度はサンプル評価と考えており、販売の数字に入れていない。ハンガリーの販売は19年度から本格化する」(同)。一方、17年度に販売が減少したBRなど汎用ゴムについては「国内の需要が伸びない中で、海外で伸ばしていかなければならない。ただ、単純に輸出するだけでは新興国メーカーの価格に勝てない。中国ローカルのタイヤメーカーなどに、高付加価値品やSSBRを含めた配合などソリューションビジネスで拡販していきたい」(同)としている。

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