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天然ゴムが8カ月ぶり安値も石化は依然厳しい

タイヤ4社、原材料落ち着き増益見込む

原材料 2018-02-26

 ゴム(天然ゴム、合成ゴム)は、タイヤ重量構成比で約50%を占める。そのため、ゴムの価格が変動することはタイヤの収益に大きな影響を及ぼすことになる。原材料の影響額の内訳をみると、住友ゴム工業は360億円の減益要因のうち、天然ゴムが155億円、合成ゴムやゴム薬品など石油系が194億円、横浜ゴムは159億円のうち、天然ゴムが62億円、合成ゴムが64億円、東洋ゴム工業は139億円のうち、天然ゴムが75億円、合成ゴムやゴム薬品など石化品が77億円を占めた。ブリヂストンも1,200億円のうち、約半分が天然ゴムによる影響。

 また、原材料価格高騰とタイヤ値上げとの間にある時間差も利益に影響する。タイヤ価格は原材料価格に対し、どうしても後追いとなるため、1年という短い期間で見た場合、原材料価格高騰局面ではタイヤメーカーにとって減益方向に出てしまう。

 今期は一転して増益要因となる原材料だが、増益幅が大きいわけではない。ブリヂストンが20億円、住友ゴム工業が35億円、横浜ゴムが39億円、東洋ゴム工業が11億円だ。

 増益の主因は天然ゴム価格。足元の天然ゴム価格は、円高等の影響により8カ月ぶりの安値圏にあり、急騰した昨年年初に比べるとタイヤメーカーには有利な状況。実際、前期と比較した天然ゴム価格の影響額は、住友ゴム工業が87億円、横浜ゴムが40億円、東洋ゴム工業が32億円の増益要因とみている。一方、石化系はゴム薬品などの影響もあり依然減益要因と厳しい。

 天然ゴム価格の下落により、全体としては落ち着きをみせそうな原材料だが、自然産品である天然ゴムや原油・モノマー価格の影響を受ける合成ゴムは天候、投機、プラントのトラブルなどにより、17年年初のような大幅な価格変動もある。

 今年も原材料価格の動向から、目が離せそうにない。

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