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【特集】合成ゴム

JSR、SSBRはアジア・欧州中心に伸ばす

原材料 2017-12-06

 JSRの上期(4-9月)エラストマー事業の業績は、売上高が946億1,900万円で前年同期比14%増、営業利益が85億7,700万円で同273%増となり、大幅な増収増益だった。

 国内は、主需要先であるタイヤで値上げ前の駆け込み需要があったことに加え、自動車生産も前年同期を上回るなど堅調に推移したことが寄与した。一方の輸出については、中国の自動車生産が小型車減税により高水準だったことで汎用ゴムの販売が増加。溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)はアジアを中心に販売を伸ばした。また利益面は、スプレッドが拡大した前年度第4四半期の原料価格が基準となった今第1四半期に大きく伸びた。

 下期以降も引き続き堅調な推移を見込む。グローバルで自動車生産とタイヤ生産が増加する見通しであり、同社の販売数量も前年同期比プラスと見込む。SSBRはアジアと欧州を中心に伸ばしていく考えだ。タイのSSBR第2期(年産5万トン)については「1年以内にフル生産になる見込み」(山脇一公上席執行役員)。

 SSBRにとって、需要環境は追い風だ。「中国でタイヤラベリングが始まり、2019年には法制化される。インドも2020年から燃費規制が開始され、欧州もユーロ6により自動車の排ガス規制がより厳格化される。そうした規制は、タイヤに求められる性能が上がることに繋がるため、それら市場で使用されるSSBRもより高性能なものが求められる。そうなれば、当社にとって拡販のチャンスはさらに拡がるだろう」(同)。自動車生産の拡大と規制による高性能グレードへの置き換えで、今後も年率6-8%の伸びを見込んでいる。

 同社ではそうした需要増に対応するため、ハンガリーに年産6万トンの新プラントを建設中。「想定よりは遅れ気味だが、予定通り2018年中の稼働開始を見込む。世界需要の伸びにマッチすると思う」(同)。ハンガリーが稼働することにより、タイから欧州へ輸出していた部分は、アジア域内に振り向ける。「SSBRは今後も、タイヤメーカーの性能要求に応えた技術力の向上と量的拡販を進めていく」(同)考えだ。

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