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安福ゴム工業 会社創業60周年―世界7カ国に事業展開しグローバルに発展

【インタビュー】安福ゴム工業会長 安福忠昭氏

インタビュー 2024-06-17

 安福ゴム工業は会社創業60周年を迎えた。1963年に安福忠昭会長が神戸市西区岩岡町に安福ゴム工業所を創業し、工業用ゴム部品の加工からスタート、現在では、二輪車・四輪車等の輸送機器向け機能部品や内外装部品の専門メーカーとして、世界7カ国13拠点22工場でグローバルに事業展開している。積極的なグローバル展開に加え、M&Aにより譲受した事業を成長させることで事業規模を拡大してきた。創業者である安福会長は「カネ、ヒト、モノのない小さな会社が、よくもここまで成長したと思う」と振り返る。安福会長に60周年の抱負や同社の歴史、今後の経営方針などについて聞いた。

本社展示ルームには多数の自社開発製品が展示されている


ホテルオークラ神戸で盛大に開催された
創業60周年記念式典/国内外の従業員による記念撮影

創業当時の思い出

 ゴムの成形加工業者から事業を引き継ぐ形で1963年に創業した。冷蔵庫やエアコンなど家電製品の部品生産からスタートし、1970年代から二輪車用部品の生産を開始した。創業当初は設備もまだ貧弱でハンドプレスなどで加工していたが、2年後の1965年にはゴム混練設備を導入し、原料から製品まで一貫生産できるようになった。

初めての海外進出

 当社の特色であり強みといえるのがグローバル展開だろう。国内だけの事業では大きな成長は見込めないと考え、中小企業としてはかなり早い時期から海外に進出した。

 初進出は1988年で、日系二輪車メーカーの要請もあり、米国ネブラスカ州リンカーンに二輪車用部品の生産拠点を設立した。設立時のプレスミーティングには、州知事や市長も参加し、工場進出を歓迎してくれた。地元のラジオやテレビ局でも当社のことを紹介してくれた。

 初めての海外進出については、『カネ、ヒト、モノのない中小企業で大丈夫か』と、心配する人たちもいたが、小さな工場からスタートし順調に事業を拡大していった。設立して2、3年後に急激な円高になったことで、米国で現地調達できる優位性から、仕事が急に忙しくなり売上高が拡大していった。

海外事業拡大

 米国での実績が日系二輪車メーカーから評価され、1995年にはインドネシア・チカランに進出した。インドネシアでの事業は順調に推移していたが、1998年のアジア通貨危機の影響でインドネシア経済も大きな影響受けた。暴動なども発生し、インドネシア子会社では一時売上高がゼロになったこともあり、大変な苦境に立たされた。しかしその後は順調に回復し、現在ではインドネシア国内に生産工場が7カ所あり、売上高は当社が事業展開する7カ国中最大だ。

海外初進出の
アメリカ・ネブラスカ工場


 2000年代に入って海外展開はさらに加速し、2002年に米国第2の拠点をジョージア州に設立した。米国では北部のネブラスカと南部のジョージアの2拠点体制で事業展開している。2003年にはベトナム・ハノイに進出、2007年にはブラジル・マナウスに進出した。ブラジルは二輪車に対して特恵関税が適用されているため、当社が進出したマナウスは二輪車関連メーカーの集積地になっている。続いて2012年にタイ・チョンブリに、2019年にはフィリピン・バタンガス州に進出した。

M&Aを推進

 これまでに、丸成ゴム工業、相洋ゴム、伸東工業など6社をM&Aにより吸収合併や子会社化してきた。業績不振や後継者がいないなどの理由で、M&Aを持ちかけられる場合が多く、事業継承後は、まず事業の立て直しに取り組んだ。そして譲受した事業をさらに発展させることに努めた。その結果、それぞれの会社や事業が立ち直り成長し、当社の業績に貢献してくれている。

事業展開

 当社は家電用部品からスタートしたが、現在では、二輪車、四輪車、四輪バギー、ジェットスキーなどのゴム部品(防振部品、ダクト部品、エンジン回りのゴム機能部品、エアクリーナー、外装品、バンパー、グリップ等)、一般産業機械向けゴム部品、エラストマー内外装部品、硬質・軟質樹脂部品などを生産している。現在では、ゴムよりも樹脂製品の方が多くなっている。

2024年5月期業績見込み

 連結売上高は約300億円で前期比10%増の見込み。利益率は10%を目指しており、増収増益の見通しだ。国内外で自動車や二輪車の生産が回復したことで、当社製品の需要も高まり、売上高はコロナ前の水準か、それ以上に盛り返した。海外売上高が70%を占めている。

二輪車用部品で事業譲受

 大手二輪車用部品メーカーから機能部品の事業譲受が進行中で、2025年にインドネシアで量産がスタートする。その後日本、タイ、ブラジルでも量産する計画だ。

 またブラジルでは、新規の大型プロジェクトを受注しており、受注増加に対応するため第2工場を建設中で2024年夏に稼働する予定。順次生産を拡大する計画だ。

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