「一緒に働くなら、相談してくれる人がいいですね。仕事に関する技術はあとからついてきますから」

そう話してくれたのは、若松洋平さん。
入社12年目。ゴムエラストマー事業部の生産技術部 生産技術課に所属している。
新製品の立ち上げや、現行品の改善、製造コスト軽減など、生産技術の仕事は多岐にわたる。

「ありきたりかもしれませんが、仕事上のコミュニケーションは大事にしてほしい。とにかくそこが重要ですね」

若松さんが“コミュニケーション”を重要視しているのは、今までの経験、特に中国駐在の経験から基づいている部分が大きい。

まずは、なぜイノアックに入社しようと思ったのかを聞いた。

決め手は「挑戦しやすい」こと

--イノアックに入社しようと思った理由は何でしょうか。

若松大学で、化学・高分子を専攻していたということ、できるだけ地元の企業が良かったこと。あと、海外で働きたいとも思っていて。グローバルな会社という点に魅力を感じました。

--イノアックのことは元々知っていたんですか?

若松いえ、正直僕は知らなかったです。先ほどの条件で検索して、見つけました。
実は僕、他の企業からも内定は貰っていたんです。

--そうなんですか!その中でイノアックが良いと思ったのはなぜでしょう。

若松大きな会社じゃないのが良いなと。いろいろなことがやれると思って。

--挑戦しやすいということ?

若松そうです。イノアックの企業理念【※】もそうなので…面白そうだなと思いました。

 

※企業理念
 『一本の大きな木を育てるより、多くの個性ある木を育て、美しい森をつくる』。
暮らしをもっと豊かにしたい、という思いから、ひとつの事業に特化することなく、ウレタン・ゴム・プラスチック・複合素材という4つの苗をもとに、多くの事業(=木)を育て、企業体として多彩な製品、サービスを作り出し、社会へ貢献している。

 
   

--地元(愛知)を希望した理由は?

若松愛知って企業の数が多いんですよね。色々なところを見れたので、県外はあまり考えませんでした。
その中でやっぱりイノアックは色々やれそうだなと思って。大きい会社だと簡単に海外にいけないでしょう。そういう点でもやっぱり魅力を感じました。

--地元で、かつグローバル企業が成り立った会社だった?

若松そうです。

中国に行ってすぐに、技術ではなく営業職を経験してみないかと言われました

※本人提供

--働いてきた中で苦労したことや印象的なことはありますか。

若松色々あるんですけど…
入社3年目に海外に駐在になりました。
本音は、もう少し日本で技術を勉強してから行きたかったのですが…2年で行くことになって(笑)
最初は中国・蘇州【※】だったんですが、そこで語学を学ぶところから始めました。

 

※蘇州井上高分子新技術有限公司
1994年に設立。化粧品容器製造の合弁会社。

 
   

--語学から!それは良いですね。
会社から許可を得て?

若松会社のプログラムですね。半年ほど蘇州大学に留学していました。

--一から学ばせてもらえると、語学に対するハードルは下がりそうですね。

若松そうですね。とても役に立ちますし、集中して勉強する良さも実感しましたね。業務にも活かせますし。
でも留学中、授業は半日で終わるんです。それだと物足りなくて、現地の大学生の家庭教師を頼みました。

※本人提供

--なるほど。実際の中国勤務はどうでしたか?

若松行ってすぐに、技術ではなく営業職を経験してみないかと言われました(笑)
会社はセールスエンジニアを重視していて。技術を理解したものが営業する、という…。
営業回りするときも、最初は1人ではなかったんです。ですが、同行者は日本語が話せない中国の方で。

--最初は苦労された?

若松はい。営業としてもそうですし、語学の部分も。とにかく手探りでした。
でもその時、上司に日本人の方もいて、助けてもらいましたね。

--1人でも動けるようになった秘訣は何でしょう。

若松語学の話ですけど、わかりやすく言ってもらうための努力をしました。

--相手にわかりやすく言ってもらうために?フレーズとかでしょうか。

若松そうですね。“わからない”ってことを伝えたり、相手が伝えたいことをこっちで繰り返したり工夫しました。
コミュニケーションで勘違いがあるとまずいので、できるだけしっかりと、相手が言っていることがどういう意味なのか掘り下げるようにはしました。

--日本に戻ってからも生かされていますか。

若松そうですね。
結局そのあと、営業は1年半で終わったんですね。
そのあとも、色々と貴重な経験をしました。

--貴重な経験とはどういったことでしょうか?

若松中国で新しいプロジェクトが立ち上がることになりまして。4人ぐらいで。
でも、ゴムじゃなかったんです。分野が全然違いました。…これがきつかったですね。

--ちなみにどういうことを?

若松RL-C【※】っていう。
炭素繊維をシートにして成型するんですけど。カチカチになって。ノートパソコンとかに使用されます。
今でもドローンの羽に使われたりしています。軽量で強い素材です。
プロジェクトは試作段階まで関わって、途中で抜けました。

 

※RL-C
参考:https://www.inoac.co.jp/solution/rlc.html

 
   

--抜けたあとは?

若松工場ですね。生産の新しい立ち上げとか。
日本人は2人いましたが、工場の基幹職を担当することになりまして。

--それも大変でしたか?

若松1番大変でした(笑)
まだゴム担当と言ってもわからないことも多くて。現場で学びました。
毎日毎日ミーティングするんですが、必ず問題が起こって…品質問題や停電、現地当局の対応とか…現場の空気が最悪な時もありましたね。

--例えば、ストライキが起きたり?

若松いえ、ストの経験はないです。
でも、尖閣諸島の国営化が起きた時は大変でしたね。日本人街が荒れたり。
対策として、1日会社に来ないでくれと言われたこともありましたし、しばらく外で日本語を話すなと言われたこともありました。

--国としての問題に巻き込まれたんですね。

若松そうですね…6年半いたんですけど、それがやっぱり怖かったですかね。

※本人提供

本当は花形のウレタンが第一希望だった

   

--6年半中国に駐在していたとのことですが、帰国されたのは?

若松2016年です。工場で製造の品質、技術的なところもフォローして。

--で、今の部署に?

若松はい。材料から生産技術に。今は、熱可塑性エラストマー【※】を扱っています。

 

※熱可塑性エラストマー(TPE)
ゴムとプラスチックの中間に位置する、第3の素材。)
常温では加硫ゴムの性質を示し、高温では可塑化されてプラスチックの加工機で成形できる高分子材料。
(出典:ゴム年鑑/株式会社ポスティコーポレーション)

 
   

--やりがいは何でしょう。

若松メンバーみんなゴムの考えで色々やるんですが、エラストマーってゴムとちょっと違って。
性能的などの良い面、悪い面を見定めて。上手くやればゴムよりも安かったり、軽いものを作ることができる。そういうことを考えたりするのが面白いですね。

--最初にどういうものが出来上がるのか考えて、実際にそれを作る。そのあと、出来上がったものがどうなったのか見ていくというのが面白いんですね。

若松はい。世の中にない材料を作っていくという事なので…新しいものを作るのは面白いです。

--若松さんは先ほど、入社のきっかけが化学を学んでいたこと、グローバルなところ。
そして、挑戦できることと言っていましたが、入社して11年、社内でギャップを感じたり、正直、仕事をやめたいなと思ったことはありますか?

若松やめようと思ったことはないです。
やめる理由って人間関係が大きいのかなと思うのですが、イノアックは和気藹々としている印象です。
あとは中国で、社内の人脈が増えたことも大きいと思います。

   

--人脈、というのは会社内の?

若松そうです。
部署内の縦のつながり、他部署との横の繋がり。蘇州では他部署との交流が盛んで。みんなで食事したりとか。
日本でもあるんですけど、中国は規模が大きいんです。全く関係なさそうな部署とも関われる。そう言う意味で人脈が広がりましたね。

--入社した時とイメージは変わらないですか。

若松そうですね。色々幅広くやらせてもらっています。

--興味がある部署や、今後挑戦したいことはありますか?

若松実は最初1番の希望は違ったんです。ゴムは2番目で。
一番はウレタン【※】、発泡品でした。会社の中でもウレタンは花形なんですよね。本当はウレタンやりたいなあって(笑)
当然ゴムも色々やっていて面白いんですけど、やれるとしたらウレタンにも挑戦してみたいですね。

 

※ウレタン
ポリウレタン樹脂。イノアックがウレタンフォーム(ポリウレタン樹脂の発泡)を日本に初めて導入した。
自動車などの輸送機器、住宅、建築、インフラなど様々な工業用途はもちろんのこと、キッチンスポンジやソファ、マットレスなど、幅広く使われている。

 
   

--最初にウレタンを希望した理由は?

若松やはり、イノアックといえば!という感じで。調べていた時もそこから知ったので、それでやりたいなと思っていました。
でも今はエラストマーでも新しいことをやっています。架橋【※】型の新しい素材開発をやっていて忙しいです。やりがいがあります。

 

※架橋
 2本以上の高分子鎖間を複数の化学結合で結ぶ反応またはその操作。その結果、三次元網目(架橋)構造が形成される。ゴムの加硫は架橋の一種。
(出典:ゴム用語辞典/丸善出版)

 
   

技術は後からついてくる。大切なのは相談してくれること

 

--若松さんはどういう人と一緒に働きたいですか?

若松あくまで仕事上ですが、コミュニケーションが取れる人。交流がちゃんとできて、隠し事なしにすべて話してくれる人。相談してくれる人がいいですね。

--相談してくれる人?

若松相談してくれた方がいいです。今後入社する人は、部下になる可能性のある方でしょうから。
ありきたりなんですけど、コミュニケーションは大事にしてほしいです。とにかくそこが重要ですね。技術は後からついてきますから。

--若松さん自身、いてくれて助かった人はいますか?

若松中国駐在時代の上司ですね。
親分肌の方で。日々の生活態度から見てくれて。叱ってもくれました。その人がいたから、やっていけた部分があります。

--若松さんにとって相談しやすい人だったんですね。

若松はい。色々、わからないこととか聞きましたね。コミュニケーションがとりやすい人で。中国拠点で長く一緒にいたのも大きかったかと思います。

--わからないことを聞きやすい人、というのは良いですね。
「上司が叱ってくれた」と仰っていましたが、もし部下ができたら、若松さん自身は叱れるタイプですか?

若松うーん…自分自身が部署の中でも若手なんです。後輩はいなくて(笑)
叱るというか…叱られる時間があったら、まず自分で考えてほしいですね。考えのないものに叱る意味があるかどうかですよね。

   

企画・制作:ポスティコーポレーション

若松 洋平

2007年4月
2007年11月
2009年8月
2010年1月
2015年11月

入社
エラストマー事業本部 技術部 基礎技術 G
エラストマー事業本部 技術部 素材開発 G
中国 蘇州大学 語学留学
中国 SUZHOU INOAC ELASTOMER CO., LTD. 出向
ゴムエラストマー事業部 生産技術部 生産技術課

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