「頑張れば報われる会社だと部下に伝えています。人と能力を見てくれる会社だと思っていますから」

IT推進室の室長を担っている久保哲也さん。
入社26年目。総勢26名の同部署のマネジメントはもちろん、自身も第一線で活躍している。 IT推進室の前身はシステム開発部だが、その時代から久保さんは社内のIT環境と関わり続けてきた。

「もっと若手をIT部門に入れて、社内全体のコンピュータリテラシーを高めたいんです」

そのためにはIT推進室を通過点にしてもらっても構わないと、熱を込めて話す。 どんな人物を求めているのか。課題とは。 話を聞いた。

   

年齢や学歴関係なく色々なことができるの“かも”しれない

   

--イノアックを知ったきっかけはなんでしょう。

久保学生当時はイノアックコーポレーションのことは知りませんでしたが、四季報を見ていた時、初めてその存在を知りました。
就職活動をしていた当時は、まだインターネットもなくて、大学の求職情報や四季報から探していました。

--就職活動をしていた時は、どのような企業を受けましたか。

久保情報系の学部を専攻していたので、そういった業界や、それ以外の業種、例えばハウスメーカーや金融系とかも受けましたね。東京や大阪にも行って。何社か内定もいただきました。

--他社から内定もいただいていたとのことですが、その中でイノアックに入社しようと思った理由はなんでしょう。

久保キーワードとして、『一本の大きな木を育てるより、多くの個性ある木を育て、美しい森をつくる』というのがあったんです。

--企業理念【※】ですね。

 

※企業理念
 『一本の大きな木を育てるより、多くの個性ある木を育て、美しい森をつくる』。
暮らしをもっと豊かにしたい、という思いから、ひとつの事業に特化することなく、ウレタン・ゴム・プラスチック・複合素材という4つの苗をもとに、多くの事業(=木)を育て、企業体として多彩な製品、サービスを作り出し、社会へ貢献している。

 

久保そうです。ビビっときましたね。
色々な企業に面接に行ったんですけど、やっぱり、大きな企業であればあるほど、歯車になりやすいのかなと思いましたし。イノアックの企業ページを見たときに、子会社がたくさんあったんですよ。当然、それだけ責任者が必要になる。もしかしたら、若いうちから色々と任せてくれるのかなあと思いました。これが、まず第一ですね。
もう一つは、「非上場」だというところが気に入りました。

--それはなぜでしょう。

久保先ほどの話にも繋がるんですが、単体の企業だと、仕事が決まっていて、レールの上に乗って安心する人もいれば、そうじゃない人もいる。当時の私は後者に近かったんです。
イノアックが、非上場でオーナー企業というのを知ったとき、意思決定が速いのかなと思いました。それで、年齢や学歴関係なく色々なことができるの“かも”しれないという印象を受けて、エントリーしたんです。

--イノアック入社の決め手の一つとして、面接での雰囲気などもありましたか。

久保そうですね。
当時、人事の方々にもすごく良くして頂いて。 実際に面接を受けた際も対応が丁寧でした。私が情報部門希望ということで、面接のときからシステム開発部【※】の話を伺っていました。
その時、自分の研究外の知識が必要になることがわかって。不安になったんですが、諸先輩方から「即戦力というよりも、時間をかけて戦力になってくれればいい」という話もあって、安心しましたね。

 

【※】システム開発部
 IT推進室の前身にあたる部署

 

バイヤーの経験を通して、頭でっかちにならずに済んだ

--入社してから現在に至るまで、情報部門以外の経験はありますか。

久保1993年の3月に一度だけ、システム開発部が解散したことがあります。配属されて一年くらいでした。

--解散後、どうなりましたか。

久保各部門に、みんなバラバラに配属されました。私は調達システムの仕事をしていたので、購買部に異動しました。 しばらくは、調達システムの維持・管理をしていたんですが、それだけではなく、少しの間バイヤーも担当しました。

--予想外の異動やお仕事で苦労されたこともあると思うのですが、実際にバイヤーを経験してみてどうでしたか。

久保バイヤーを経験したことによって、現場を知ることができたというのは、今の私を形成したターニングポイントだったなと思うんですよね。
もしこの経験が無かったら、業務を知らない頭でっかちな人間になっていたのではないかと思います。
購買部に行っていなければ、今の私はないですね。

--自分の希望とは全く違う仕事を経験したけれども、それは今振り返ってみると生きていると。

久保生きていますね。
メーカーにおけるIT部門というのは、プログラミングよりも、現場の人間の意見を吸い上げてそれを専門ベンダー(製造元)に翻訳するのが仕事です。
この仕事は、やはりコミュニケーション能力がないと成り立たない。ですが、コミュニケーションというのは、一朝一夕でできる人もいますが、実は大半の人にとっては難しい。 バイヤーの仕事を通して、色々な人とお話ができました。
この経験は大変役に立っていますね。

3,000台 対 26人

--IT推進室では、どういったことをされているんでしょうか。

久保私たちの一番の仕事として、既存システムや、それを支えるネットワークを守ることが挙げられます。
かつ、PCのトラブル対応。IT推進室ではグループも含め約3,000台のPCを管理しています。要は3,000人が使っているんですね。「PCが立ち上がらない」「メールが見られなくなった」とか、そういった小さなトラブルにも対応しています。
あとは当然、システムの更新をしていかなければならない。そういったプロジェクトにも参加します。

--現在のIT環境の変化は目まぐるしいと思うのですが、IT推進室として、何か対応はしていますか。

久保昨今はどんどんトレンド、新しい技術がでてきています。
少なくとも「IoT(モノのインターネット)」「AI」「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」、ここのキーワードは押さえていますね。

--実際に何か活動はしていますか。

久保今年からRPAに関するプロジェクトを立ち上げまして、主に開発グループが活動しています。
AIに関しては、技術本部の方たちと共同で実証実験を行い、どのように活用できるのかを検証していこうと思っています。
IoTについても、翁豊彦社長のご指示の下、スマートファクトリープロジェクトが立ち上がっています。生産機械との接続や見える化がテーマです。

--様々なお仕事がありますが、割り振りなどはどのようにされているのでしょうか。

久保IT推進室には26人所属していて、3つのグループ【※】に分かれています。

 

【※】
①開発グループ…JAVA開発を中心として、昔のシステム開発部門のプログラマーのような仕事を一部担当
②業務支援グループ…基幹システムであるSAPをはじめとした業務システムの保守・運用・導入
③運用グループ…ネットワークセキュリティ、パソコン補修などを担当

 

「守り」は運用グループ、「RPA」など新しいものは開発グループ、基幹システム等の維持・管理・更新、導入は業務支援グループと明確に分けています。 どうしても人手が足りないところや、スタートアップで形が見えないところには私も加わって何とかこなしています。

※本人提供

--3,000台に対して26人ですか。

久保これが多いか少ないかは議論になるんですけども(笑)。やっているほうからすると、やはり大変ですね。ちょっとしんどいな、と思う時もあります。
そこで常に、効率という点で改善を考えて仕事をしています。私自身も、RPAやペーパーレスなどを実践していますね。

--IT推進室での活動を通して、久保さんが実現したいことはありますか。

久保他の部門に配属された人をうち(IT推進室)に呼ぶというのもやりたいです。
ITっていう言葉だけを聞くと、どうしても敷居が高く感じられるんですよね。

--たしかに。専門的な知識が求められそうなイメージですね。

久保ですが、そうじゃないんです。本当はもっと若手をIT部門に入れて、コンピュータリテラシーを高めたい。
例えばセキュリティーの大事な面とかSP(サービスパック)はどう使われているか。利用者と保守の間くらいの立ち位置でいいんですよ。それを経験してもらい、また元の部門に戻すっていうことをしたいです。

※本人提供

ひとつの例ですが、スパムメールが来たとき、リテラシーが低い人間だと開いてしまうんですよね。開いてはいけないって知っていれば、開かない。そういう人を増やしていかなきゃいけないと思っています。
もっとリテラシーを高める啓発活動を、まだまだ弱いので、今後やっていかなければならないと感じています。

--ネットリテラシーを高めるためにも、若手を入れていきたいんですね。

久保入れていきたいですねえ。
本当に、2年でいいんですよ。他の部門から迎えて、鍛えて渡すっていうのをやりたいんですよね。

--課題ですね。

久保そうですね。
ただ、幸いにも5年くらい前から、ネットリテラシーについて、新人社員研修で半日ほど時間をいただいています。ですが、アンケートの結果を見ると「難しかった」という回答が目立っていて。それを読んで改善はしているんですが、難しさを感じています。

--他にはやりたいことはありますか。

久保社内用携帯をガラケーからスマートフォンへしっかり変えていきたいですね。変えて、生かしていけるコミュニケーションツールを今から考えなきゃいけないと思っています。
具体的に言えば、Office365、ジースイートというサービスの導入を企画・検討中です。

技術よりも「聞き出す能力」と「伝える能力」が大事

--これから入社してくる人に、室長という立場として求めることはなんでしょう。

久保そうですね。色々な優先順位があると思うんですが、一番はコミュニケーション能力。もうこれがあれば、私はどの学部でも性別でも、まったく問いません。

--「コミュニケーション能力」とは、具体的にはどういうことでしょう。

久保「聞き出す能力」です。
課題を可視化して、フローチャートに落とし込んで、複数ベンダーへ提示しコンペをする。これが僕らの大きなメインの仕事なんです。それがすべての仕事のアプローチなんです。
まずは聞きます。そして、現場、もしくは経営陣に対して、私たちが思っていることを丁寧に説明する。これができる能力がある人が一番です。

--「聞き出す能力」と「わかりやすく伝える能力」が必要ということですね。

久保おっしゃる通りです。
JAVAや.NETの開発ができるに越したことはないのですが、マストではないんです。業者に頼んだって良い。もっと優秀な人はごまんといますから。
そういった人たちを使いこなすコーディネート能力というのが大変大事。
メーカーITというのは一言でいうとコーディネーターなんです。

--他に何かありますか?

久保「マインド」ですね。精神論的な話になってしまうんですけども。
要は、どんなに優秀な人でもマインドが低いと多分伸びないし、どの部署でも役に立たない。マインドが低いと、できていても伸びないっていうのは結構目の当たりにしてきまして。 だから、失敗してもいいからやる気、高いマインドを持った人が欲しいです。

--できない人がいても、マインドがあれば育てられることができる。そして、重要なのは知識よりもコミュニケーションが取れること。

久保そう。おっしゃる通りです。

--最近の求職者は、転勤の有無を気にする傾向があるようですが。

久保IT部門はあまりローテーションもなくて、転勤は少ないです。
ですが、海外へ行けるかどうかは聞きます。海外事業のIT部門に4年ぐらい前から関与していまして。たとえば中国のネットワークだとか、ベトナム・フィリピン・スリランカ…だいたい北米以外は全部関わっています。実際に部下に行かせているので、海外駐在ができるっていう人は積極的に採用しています。
正直、海外がどうしても無理、かつマインドやコミュニケーションに問題がある場合は、不採用です。 多少、コミュニケーション能力が低くても「海外平気です!」って人は前向きに考えますよ。 

頑張れば報われる会社

--イノアックの特長は何でしょう。

久保よく中途入社の社員が言うのは、“つぶしがきく”ということです。
普通のベンダーだとつぶしがきかないんですよね。ベンダーだとプログラマーやSE(システムエンジニア)、PM(プロジェクトマネージャー)など、適性があるので。そこで駄目となると、行き場がない。
だけどイノアックの場合は、もしIT部門で採用して駄目だった場合は最悪、他の部署へ行けるんですね。例えば、技術職は難しいですが、製造や他の間接部門に行くとか。そういった意味でつぶしがきくっていうのは大変うれしいと言っています。心に余裕ができますよね。

--久保さんから見るイノアックの残すべき社風は何だとお考えですか。

久保社風というと、ちょっと仰々しい感じがするんですが… 私がすごいなと思うのは、色々な人と話しやすいことですね。風通しがいい。私も、この立ち位置(室長)だから、ということもあるんですが、先日、井上聰一会長と1対1で面談をしました。話しやすい雰囲気があります。
26年間働いていて、周りを見たときに、大学のレベルとか関係ないなと感じます。人と能力を見ているのかなあと思うんですよね。そこはすごい会社だなと思います。

--個々の努力など、そういった部分をしっかり見てもらえるんですね。

久保 そうですね、僕はそう思います。
中途だろうと、専門卒だろうと、頑張れば報われると部下には伝えていますね。

企画・制作:ポスティコーポレーション

久保 哲也

1992年4月

1993年4月
2005年9月
2008年4月
2009年7月

入社
システム開発部
購買部
香港 INOAC HONG KONG LTD.出向
海外事業統括室(IT担当)
IT推進室
現在に至る

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