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「精密搬送用ベルトの選定方法」テーマに

バンドー化学、ウェビナーを開催

工業用品 2025-05-30

 バンドー化学は5月28日、「精密搬送用ベルトの選定方法~用途に応じた選定方法を事例とともに紹介します!~」をテーマにウェビナーを開催した。

ウェビナーの様子


 今回は、産業資材事業部営業部伝動営業グループの岡本里菜氏がMCを、同事業部技術部コンベヤベルト設計グループ主事(福井ベルト工業駐在)の荒木伸介氏が講師を務め、「平ベルト、歯付ベルト、ウレタンベルトの特長や違いを理解する」、「具体的な選定事例を知り、機構に応じたベルト選定をできるようにする」――をゴールに解説した。

 「精密搬送」とは、媒体と装置との間で情報の授与を行うため、高い位置決め精度、姿勢維持精度、搬送ピッチ精度および送り精度などが要求されるもので、従来のベルト搬送と区別して「精密搬送」と呼ばれる。

 精密搬送で用いられる精密搬送用ベルトには、大きく分けて、「平ベルト」(PSベルト/スーパーサンラインベルト)と、「歯付ベルト」(UVE[ウルトラ柔軟エコ]/UVH[ウルトラ柔軟ハイブリッド]/アウトサートベルト)がある。UVEとUVHはともにゴム製、アウトサートベルトはウレタン製となっている。

 PSベルトとスーパーサンラインベルトは、つなぎ目がないシームレス平ベルトで、カバー材質と心体(織物、編物)で構成されている。カバー材質と心体の組み合わせによって1万通り以上の種類があり、「耐熱性」、「帯電防止」、「食品衛生法」、「摩擦係数」、「耳ほつれ防止」など、さまざまな機能を付与することができる。

 PSベルトの新製品としては、耐油性と耐湿熱性を両立した「EXL-301」を開発。同製品は、東南アジアにおけるATMなどの搬送機器の普及率向上に伴い求められるようになった耐湿熱性をクリア。また、近年、長寿命化の目的で導入が増加しているポリマー紙幣のインク油成分などでベルトが膨潤するのを抑制できる耐油性を実現した。

 UVEは、ゴム部にEPDMを採用。①耐熱老化性に優れ、安定したグリップ力(搬送力)を維持②耐寒性に優れ、寒冷地でも曲げ癖がつきにくく、低い起動トルクで搬送が可能③耐オゾン性に優れ、高濃度オゾンに耐性がある④環境に優しい非ハロゲン系ポリマーを使用――が主な特長。

 UVHは、EXL-301と同様のゴムを採用することで、UVEよりもさらに適用環境条件を拡大した歯付ベルトとなっている。

 アウトサートベルトは、ウレタン突起付ベルトと樹脂を一体化した樹脂複合ベルト。小プーリでも搬送物のスムーズな乗り継ぎを可能にし、つなぎ目がないため、接合部での割れもない。突起部が注型一体成型のため、突起の加工費が不要で、かつ融着不具合がなく、突起部強度の信頼性が向上する。また、樹脂がベルト歯面側に巻き込まないため、回転駆動が可能な製品となっている。

 ウェビナーでは、選定事例として、①プリンターの給紙部②券売機の搬送部③自動販売機の弁当搬送④金融機器の紙幣搬送⑤自動計量器の搬送部⑥半導体チップ割り――などを紹介。平ベルトと歯付ベルトを使用した場合のそれぞれのメリット、デメリットを解説し、用途に合わせた製品選択が重要と結んだ。

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