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安定供給や事業継続視野に

ゴムシートで値上げ気運高まる

工業用品 2021-06-14

 ゴムシートメーカーで製品値上げの気運が高まっている。6月1日には十川ゴムがいち早く価格改定を発表(関連記事:『十川ゴム、ゴムシートおよびホース など製品全般を値上げ』)。他のゴムシートメーカー各社も製品値上げを検討しており、なかには具体的な話を進めているメーカーもあるようだ。

 十川ゴムの改定幅は製品により異なるため、別途設定の上での案内となるが、ゴムシート類は10~20%、樹脂製品を含むその他汎用品は8~20%値上げする。また、今回は汎用品以外の特定の顧客向け特注製品についても個別で価格交渉を行うとしている。

 背景にあるのは、原材料価格と運送費の高騰だ。原材料では、昨年末頃からニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなど、品種を問わず価格が上昇。原材料比率の高いゴムシートは利益が圧迫されている。また、価格だけでなく、コロナ禍からの回復に伴う需要増に原材料供給が追い付かず手に入りにくい状況が続いている。

 運送費はガソリン代の高騰だけでなく、働き方改革による人件費の上昇なども含まれるため、今の水準から今後大きく下がるとは考えにくい。

 適正価格から乖離した価格水準では、設備投資も行えず、安定供給や事業継続が難しくなる。価格改定の背景には、そうした安定供給の維持や事業継続という長期的視点が大きく含まれている。

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