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トランプ新政権の政策見直し

自動車部品メーカーも対応迫られる

工業用品 2017-01-30

 1月20日、米国トランプ新大統領が就任。早速、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を表明した。トランプ新政権の政策転換は、わが国の自動車用ゴム部品メーカーにも影響を与える懸念があり、住友理工の西村義明会長が1月23日、「米国では必要に応じて投資・雇用を増やしていく」とコメント。また同25日、豊田合成の宮﨑直樹社長は、本紙の単独インタビューの中で「米州事業は収益の柱なので、NAFTA再交渉を注意深く見守っている」と話した。

住友理工 西村会長「NAFTAがなくなれば米国既存工場に投資へ」

西村会長


 トランプ米大統領就任に際し、住友理工の西村義明会長兼CEOは1月23日、名古屋のグローバル本社で開いたメディア懇親会の席上、「NAFTAが再交渉となり、高関税がかけられることになった場合、今後は米国での生産を増やす必要がある。NAFTAなどの状況を見ながら、投資・雇用について必要に応じ、さらに上積みすることも含めて適切に対応していく」と、次のようにコメントした。

 「米国は当社グループにとって重要な拠点であり、1988年にオハイオに現地法人を立ち上げて以降、累計約700億円を投資してきた。現在約2,000人を雇用しており、この雇用を今後もしっかり守っていく。2020年度を最終年度とする中期経営ビジョン・2020V期間中は今後年間40-50億円投資していくことを

住友理工はメキシコ拠点・TRAMに第2工場を建設中

計画している。さらに必要に応じて投資・雇用を増やしていく」

また同社は、現在メキシコの自動車用防振ゴム生産拠点に新工場を建設し、今年2月に操業を予定している。西村会長は「2020Vでは、メキシコに100億円弱を投資していく。米国では200億円以上の予定。米墨間に本当に壁ができれば、さらに米国での生産増強を図ることになる。NAFTAがなくなるようなことがあれば、オハイオやテネシーの既存工場にまだ増産余地があるので、そちらに投資していく」ことも明らかにした。

 住友理工はトランプ新政権が発足した翌日の1月21日、常務以上の役員および社外役員、監査役、事業部長ら約30人が出席して役員合宿を行った。そこで2020Vの進捗状況の確認、17年度の重点取り組みや課題について討議。その中でトランプ新政権による影響を確認し、今後の対応を協議した。ゴム関連企業の中でも、同社のこうした素早い対応が注目される。

豊田合成 宮﨑社長「NAFTA再交渉、成行き見守る」

宮﨑社長


 豊田合成はメキシコに4工場を構えるが、特にウェザストリップ製品に関してはここ1-2年かけてカナダ、米国の工場から、NAFTAの枠組みの中でメキシコへの生産シフトを進めている。

 現在、メキシコの生産子会社で2020年までにウェザストリップ製品の生産能力を現行の約1.5倍に増強する投資を進めており、完了すれば生産移管は一段落する。

 今回のNAFTA見直しの動きについて、宮﨑社長は「当社にとって米州の自動車部品事業は、連結利益の半分を稼ぐ収益の柱となっている。再交渉となれば、相対的に影響は大きくなる。今は成行きを注意深く見守るしかない」と話す。

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